気まぐれ腕時計館

腕時計好きになって31年。貯めてきた戯論を気ままに書いています。

スプリングドライブに思うこと

クオーツの腕時計をセイコーが世界に向けて発売したのは1969年のクリスマス。

この時から簡単に正確な時間を大勢が共有できる時代がきました。

しかし電池の問題が残りました。

クオーツを発表したと同時に電池の問題を解決すべく、セイコーが満を持して出したのが、オートマティックジェネレーティングシステム。

AGS(のちにキネティック)と略されたその機構は自動巻のローターを利用して自転車のダイナモのような発電機をもって電気を充電するというもの。その機構は応用性もあり、野生生物の発信機に利用も考えられていました。しかし同時期にシチズンが提唱した太陽光発電によって駆逐された形になりました。腕につけておかないと充電されないAGSより放っておいても充電される太陽光発電の方が便利でしたから。今ではセイコーもAGSから手を引き、ソーラーに主力を変更しています。

しかし、AGSで培われた技術は消えたわけでなく、スプリングドライブという機構に昇華されました。

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スプリングドライブはAGSの欠点、そして同時にソーラーの欠点でもある充電池の寿命という問題を解決した画期的な機構と言えます。

AGSもソーラーも電池交換必要なしというのは半分ウソで寿命はありますから充電されにくくなると充電池の交換が必要です。スマホのバッテリーと同じ。

先のブログに書きましたが、クオーツは現在のところ腕時計の究極点であります。その最大の弱点である電池を無くしたというのは凄すぎます。一体どうやって動かしているのかというとご存知の通り機械式時計と同じゼンマイ。ゼンマイで小さなジェネレーターを動かし(ここはAGSと同じ)、制御回路を動かし、針を動かす動力は電池ではなくゼンマイなんですよね。つまり簡単に言うと、「本当に電池交換が必要のないクオーツ時計」であります。

この機構は今現在考えられる電波やGPSに頼らない時計としては最高の機構だと僕は思います。

何回か理屈を読んでいますが正直言いますとなんとなくわかる程度で未だによく理解できていません。

果たして修理やメンテナンスはどうなるのか?セイコーはいつまでも作り続けるつもりなのか?そこがちょっと心配です。

 

 

手巻 自動巻 水晶 どれがいい?5

サクッと其々について自分の考えを簡潔に書きましたが、どのシステムがいいか?というのは答えが出にくい話であります。

其々に楽しめる要素が違ってて、どれ一つがなくても他のシステムが欲しくなります。

更に手巻きなら巻き心地の違いがあったり、

自動巻も持ち主の動きによって巻き上げが違ったり、

クオーツに至っては、電池交換タイプ、自動巻発電、光発電、スプリングドライブ、更に便利な電波修正タイプに世界中どこにいても正確なGPS修正タイプ、アナログにデジタルなどまた後に書きたいと思う内容がゴロゴロしてて一言では書けない。

どれがいい?

というのは、仕組みからしてこんな風に楽しめますよ、腕時計と付き合えますよということで、やっぱりその時の自分がどんなタイプが欲しいのかって言うことになるのかな?って思います。これがベスト!という解答は26年時計好きをやってても言えません。もしあったとしたら、ベストでない腕時計は淘汰されていると思います。まだ其々存在しているというのは全てのモデルが必要とされているからでしょう。

ただ、世の中にある数だけ見れば、圧倒的にクオーツ時計の圧勝です。現代社会において機械式時計のない世界は考えられますが、クオーツ時計がない世界は考えられません。先に電池供給の心配について触れましたがそもそも電池供給がなされず機械式時計にしか頼れない社会ってヤバくないか?って思います。腕時計どころじゃないですよね。

機械式時計を愛用できるというのは、ある意味平和だなって思います。f:id:echolo223:20190506042519j:image

 

 

手巻 自動巻 水晶 どれがいい?4

さて、クオーツ時計ですが…

これはややこしい。

まず一つ言えるのは、

時計の歴史を辿ると正確さの追及でしたから、

ゼンマイ振り子式時計の正常進化がクオーツで、周期利用しているというところで過去の時計達と変わるものではないですよね。

水晶式以降はまだ出ていませんからなんとも言えませんが、電波時計GPS時計が出てしまった以上、腕時計の形態としては水晶式が最高精度ということにこの先もなるんじゃないかと思います。

いわゆる一つの究極形と言っていいと思います。時計の技術が到達すべきところまで到達した形。

あらゆる面で(機械式時計)ゼンマイ振り子式よりも優れています。世界中の腕時計の殆どがクオーツ時計だと言っていいんじゃないでしょうか。

ただ電池を利用しているところが唯一の弱点。

充電式電池とて同様です。寿命はあります。

同じ型の電池が作り続けられれば良いのですが、先のことはわかりません。つまり肝心の動力源が他力本願になってしまいます。

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それは無駄な心配でもあるかもしれません。

よほど特殊で古い時計でないと電池供給がなくなったという話は聞いたことがありません。

それ以上に正確で丈夫な水晶時計は明らかに信頼性において機械式時計を凌駕しています。

クオーツ時計があるから、機械式時計を悠長に愛用できるという言い方もできます。

 

 

手巻 自動巻 水晶 どれがいい?3

そして自動巻時計、

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地球の重力を利用してゼンマイを巻き上げる時計ですが、現在ある機械式時計の殆どが自動巻であると言ってもいいでしょう。

手巻き時計はほんの少数派。

言うまでもなく、その数の多さは支持率の多さでもありましょう。

わざわざゼンマイを巻き上げる手巻き時計に比べて腕につけているだけでゼンマイが巻ける自動巻は便利でもありますし、手巻時計に比べて操作が減るので腕時計の弱点である竜頭の保護にもなります。

 

欠点は手巻き時計よりも複雑になり機構的には故障箇所が増える事。しかしこれは前項で書きましたが手巻き時計そのものも人間の手で巻き上げないといけないリスクを避けられる点で大きく自動巻の方がアドバンテージを持っていると思います。ちょうどいいところまで巻き上がったらそれ以上ゼンマイに負荷がかからないような仕組みは巻き切り防止になり安全です。

 

自動巻時計には手巻き機構も備わっているものが多いですから、完全に止まってしまった時の初動や、いざという時、例えば重力を利用できない宇宙環境での使用や腕につけて巻き上げられない状態であっても使用することは可能ですから、できれば自動巻を選ぶ場合は手巻き機構付きのものを選んだ方がいいと思います。

 

ちなみに機械が複雑になれば故障率が高くなるというのは当たり前の事を言っているだけで批判ではありませんよ。必要なら複雑であっても仕方がないことです。その必要とされる志向性の要素もまた多様であります。

シンプルで壊れにくい最もシンプルな時計が欲しければ日時計の腕時計タイプが良いかもしれません。

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自動巻というシステムが有効なのは腕につけてこそ。懐中時計の時代には意味がないもの。

また壁掛け時計や置き時計でも不可能。

持ち主の自然な動きがエネルギーになる仕組みは使うにつれて次第に身体の一部になっているようで、手巻き時計とは違った愛着が生まれますね。

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まずは手巻

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賢人曰く、

「シンプルで部品数も少ない構造の手巻時計は頑丈で壊れにくい。」

 

確かに仰る通りだと思います。

数日前にクロノグラフは部品数が多く構造が複雑なので故障のリスクは高いと僕も書きました。

 

しかし、一つ盲点というか考慮すべきところがあります。

それは手巻時計は手で巻かないといけないということです。

当たり前の話ですが、手巻時計を構造だけで語ると確かに頑丈ですが、使うことを考えると人の手でゼンマイを巻き上げるという「酷使」を毎日行わないといけません。

もちろん、慎重に優しく丁寧に、時計の調子を探るさながら昔の町医者のように竜頭を回すなら幾分いいかもしれません。

しかし、その日の気分によって早く、竜頭が重くなってるのに容赦なくグリグリ、巻き止まりギリギリまでギュリって巻き上げたりを繰り返すとゼンマイ巻き切りなんて事になりかねません。

しかも毎日数十回もグリグリしますからパッキンも多少痛みます。もちろんそれにより防水性の低下を招き、竜頭部分から錆びる事に。

 

「手巻き時計は毎日巻き上げる事で愛着が増す」

 

確かにそうかもしれませんが、あくまで丁寧に優しく変化に気づくくらいに毎日使わないといずれしっぺ返しがくるかもしれません。

 

ゼンマイを巻き切った時の自己嫌悪は毎日築いた愛着の減少を招く恐れもあります。

注意が必要です。

 

そういう意味では8日巻きなんていうロングパワーリザーブのモデルは存在意義があるでしょう。

週の初めに時計を巻き上げて時刻も合わせる。

 

いいんじゃないでしょうか。

 

3日とか5日のパワーリザーブなら、いつ巻き上げたかわからなくなるのでパワーリザーブ表示があるのがベターでしょうね。

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手巻 自動巻 水晶 どれがいい?

これもまたベタなネタですが、改めて自分の考えをボチボチと整理してみようと思います。

まず腕時計の駆動形態の種類として大雑把に分けると、

手巻き

自動巻

クオーツ

と三種類に分けられますが、

其々の特徴をサクッとおさらいしてみようと思います。