気まぐれ腕時計館

腕時計好きになって31年。貯めてきた戯論を気ままに書いています。

TRUME EPSON

バディとなる腕時計がTRUMEのコンセプト。

らしいのですが、最近(現在2022年1月です)、バナナの叩き売りのような価格で売られているのはどういうことなのか。エプソンはTRUMEのラインを止めてしまうのか?そう勘繰ってしまいます。

そもそも、

我々時計好きにとってエプソンセイコー諏訪だということは最初からわかっていること。

同じセイコー社内で必ずしも仲がいいとは言えないけれど、切っても切れない関係であることも知ってます。

エプソンがなければ、世界初のクオーツ腕時計アストロンの発売はなく、その前に前回の東京オリンピックでのオフィシャルタイマーもなし得なかった。セイコーは世界のセイコーにはならなかったのです。セイコーの最先端技術はほとんどエプソンからおこっています。

これはある程度の時計好きでないと知らないでしょう。約80年。エプソンセイコーは持ちつ持たれつの関係であった。

ところが、エプソンは、わざわざTRUMEというブランドを興しました。アストロンというセイコー社のGPSウォッチがあるにも関わらず、わざわざセイコーの名を入れずTRUMEでGPSウォッチを出すというのは如何な事情があるのか?

事実関係はわかりません。すみません。

あくまでも想像なのですが、

最近のセイコー社の腕時計による主力収入源は機械式に移行しているようです。それに使用されるメカにエプソンは一切関係なく、つまり高収入源はセイコー本体で得られてしまう。クオーツもソーラーがメインなのでエプソンは絡んでこない。

エプソンが開発したキネティックやスプリングドライブ、そして世界最高のクオーツと言われる9Fを使うことなくセイコーは機械式時計高騰の波に乗り、はっきり言えば切り捨てることができる。

セイコー本体とエプソンの築き上げてきた微妙な関係が危ういのではないかということです。

エプソンブランドの販路のおぼつかなさはセイコーの販路を使えないからというのは想像に易い。

販路がないと売れようがないのです。

そもそも、腕時計なんて廃れた文化です。

購入層の年代は年々高くなってるし、若い人はファッションでしか見てないし、腕時計に興味のない高年齢者はロレックスを代表とする付加価値の比較的高いものにいく。当然の成り行きでしょう。エプソンは買収したオリエントという既成の業界三男坊ブランドでかろうじて腕時計ラインを保つしかないのです。おそらく本意ではないでしょう。世界中何処を見たって真似のできない最高のクオーツ時計を作ってきたのに、それが忘れ去られようとしているのですから。でもそんなものは既にごく一部の層にしか必要とされていないのです。はっきり言えば拘りのクオーツ腕時計であること以外に特徴のないTRUMEを買う層なんて、よほど変わり者でないと半額でも買わない。

かくいう私はその変わり者の1人なわけですが…

しかしながらエプソンには頑張って細々でもTRUMEのラインを続けて欲しいと願っています。クオーツのセイコーのプライドをかけて。

 

さてここからは簡単にインプレを。

今回購入したTRUMEはSWINGGENERATORモデルです。

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チタンボディ、セラミックベゼル、ネジ込み竜頭、視認性の良い文字盤。10気圧防水に「なぜ20気圧にしない?」と疑問を投げる声もありますが、10気圧防水でネジ込み竜頭であれば想定されるほとんど全てのシーンで大丈夫のはずです。

裏スケでガラスを使ったせいで20気圧防水にしなかったのかも。この時計で裏スケが必要だったかは若干疑問ですけどね。

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とりあえず実用上ポイントを押さえたいい時計だと思います。

45mmサイズが大き過ぎるという声も。

実は私もそう思ってもうちょっと小さければなと買わなかった口なんですが、買った知人がつけ心地と軽さのおかげで大きさは気にならないよと教えてくれたので、半額放出セールも後押しして買ってみましたらその通りでした。確かに大きいのですが、ベルト込みで70gの軽量さはその大きささで逆に重量が更に分散されてか、かなり軽く感じます。

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単純比較できませんが、重量と大きさで比較するとG-SHOCKの6900が普通に使える人なら全く問題ないと思います。

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スポーツウォッチで軽さは正義です。

この時計をつけたまま思いっきり走れます。機械式時計のように振動を気にしなくていいですし。

逆に振動をエネルギーに変換する時計ですから。

一応説明しますと、この時計は内部ローターが振動で回転することで電気を貯めていく時計です。電池交換不要時計の主流は光で発電する時計ですが、1990年代には振り子発電時計と光発電時計との一騎打ちだったのです。SWINGGENERATOR はその当時の振り子発電のテクノロジーを復刻させたと言ってもいいでしょう。

当時は外部エネルギーを必要としないクオーツ時計としてセイコーの悲願が叶ったくらいの騒ぎでした。ソーラーは光が必要ですが、振り子発電は使ってれば宇宙以外では勝手に発電しますから。

つけてなくてもフル充電で180日動きます。また半年使わなければ勝手に止まるらしいです。すぐ動き出せるように若干エネルギーを残して止まるらしいです。つまり蓄電池を痛める過放電を防ぐ意味もあるのでしょう。

 

 

 

 

2021年気まぐれ腕時計大賞

 

コロナ禍にも関わらず高級腕時計は売れてるようです。

特にロレックスの高騰ぶりが酷いですね。

あれはもうなんていうか「資産を通り越して株式証券です」と某超有名時計店さんも曰く。

さもありなんと私も同意であります。

ロレックス超人気モデルを手放したのが数年前。時期を間違えたか!と思っていましたが、某I○C店員さんと話してるうちに、ロレックスを愛用時計として、そして資産転がし屋ではなく時計好きとして手放せたギリギリの線だったかなと。逆に納得できました。負け惜しみかもしれませんが。笑

 

さて、本題です。

今年も沢山の新作が出ましたけど、個人的にインパクトが強かったのがコレです。

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スピードマスタープロフェッショナルのコアキシャルモデル。

 

通称スピマスプロ。これにコアキが載ったのはショックでした。普通のクラブツースでよかったのに…

スピマスは聖域だと思っていたのですが、とうとうコアキの波にやられたなという感が強いです。

個人的には。

もちろん性能は向上しています。

しかしスピマスプロに性能アップは必要だったのか?いや、スピマスプロは生きた化石であり続けて欲しかった。と思うのです。

決してコアキが嫌いなわけではありません。

げんに気に入ったモデルを2本持っています。

しかしスピマスプロは踏み込んで欲しくなかったなぁ。

そう思うのなら大賞じゃなくない?

というお声が聞こえてきそうですが、自分的に今年1でインパクトがあった新作ということで大賞にさせてください。

 

それにしても…

ここのところ旧スピマスのリセールがロレックスの後追いをしてるような気がするのですが…

何故?

 

来年もよろしくお願いします。

 

 

腕時計は思い出と共に

前にも書いたかもしれませんが、

この季節になると使いたくなる時計があります。

20世紀最後のクリスマスに神戸カミネで買ったブライトリング。30万円ほどだったか。今となっては安い部類に入るのかもしれませんが、当時の自分にとってはかなり高額でした。使える有り金全部はたいて勢い買いました。どこかで聞いたような話ですが。

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この時計をつけると一番腕時計熱がオーバーヒートしていた頃を思い出すのです。色々と楽しい時間でした。同志の友人もできました。懐かしい。

 

腕時計は思い出の記録装置と考えている自分にとって、こういう思い入れは大切なのです。

アップルウォッチでは、そうはならないだろうな。

愛用の時計 愛用したいと思わせる時計

実が伴っていてその上、実に可愛らしい。
芸はないけど素朴に造られたなんだか田舎っぽいケースが見て取って眺めてホッコリする。
そんな時計です。


なんの気負いもなくただ純粋に愛用したいと思える。
TIMEX

ここはこういう時計を作るのが上手なメーカーだなとよく思う。軍用時計もいいけれど、日常に寄り添える時計作りも巧い。
お国柄も出ているのかな。

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元気の素

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現物は非常に綺麗な腕時計だった。
このメーカーのCM画像は出来が良いとはお世辞にも言えない。

この頃少し斜めから射すようになった陽光がその時計を捉えたとき
歯車達が成す光と影はとても美しく調和し、テンプとガンギは心地よい旋律を奏でているようだった。とても良い。シャッターを切りたい気分でしたが、オンタイムだったのでなんとか踏み止まりました。


実際、仕事上の付き合いで腕時計の話を切り出すことは滅多にありません。
理由は様々です。およそご想像通り。それが良い空気を作るかどうかさっぱり予想できないですからね。

たとえばロレックスをつけてる人には100%それに触れないようにしています。本物だったらまだしも万が一にも違ったりしたらバツが悪すぎる。仮に本物であっても良い空気にする自信は21%未満。純粋に腕時計が好きでロレックスを付けてる人と、ロレックスの見栄を含んだ記号性の強さで付けてる人では温度差が激しすぎますから。

それは何もロレックスに限ってではなく、腕時計に対する人の思いは様々なので話題にするには何かとリスキーなことが多いと思います。

 

ですがそのオリエント は違いました。

聞いてもいい雰囲気に溢れていました。
そしてそういう空気を読むのは仕事柄か割に得意な方なので確信して投げかけてみました。

 

「素敵な腕時計ですね」

 

するとよくぞ聞いてくれたとばかりの笑顔。
当たり!だった。

 

「買ったばかりなんです。200本限定で予約注文してたのがやっときたんです。」

 

こういう場合でも余程でないとこっちが時計好きであることはなるべく伏せるようにしています。
その方が相手はよく話してくれるからです。

 

「珍しいデザインの時計ですね。」


オリスタのフルスケルトンですね?とか専門用語は避けて、普通に腕時計を見て綺麗だなと思った素人を装います。

 

「でしょう?(笑顔) 一目で気に入ったんですよ。コロナで何処にも行けずストレスが溜まっているのですが、この時計を眺めているとちょっとだけ解消します。じっと見つめると引き込まれてそうな宇宙を感じますし、ここの動きがまるで心臓のようで。生きてるようでしょ?」

 

「本当ですね。眺めてると癒されますね」

これは本当にそう思う。

 

「ちょっと高かったんですが、思い切って買ってよかったです。ずっと見ていられる....ベルトの留め方も変わってるんです。ホラ。」

 

楽しそうにそう話しながら見せてくれました。

 

オリエントの限定フルスケルトンを腕にされたその御仁、
年齢は91歳。
そのお歳を感じさせない実に御元気な紳士です。
つまり、

その齢にして予約してまで欲しいと思える購入欲。そしてその腕時計に対する知識欲。

明日にも繋がる欲望こそが生きるための力ではないか。
人間は欲望の塊であるからこそ生きられる。明日も生きていたいと思える。
当たり前のことですが、人生の大先輩の楽しそうに新しい腕時計を眺める笑顔を見れて改めてそう確信しました。

秋から冬にかけて (手巻 スモセコ)

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秋になると革ベルトの時計がしっくりきますね。
その中でも小ぶりで、できれば薄型なのは重宝します。なぜなら寒くなってきますと長袖の重ね着が増えてきますから、そうするとデカ厚(デッドワード?)のダイバーズやクロノグラフなどはちょっと閉口するかなと。
夏は必然的に腕時計が主張する季節ですが、秋冬はできれば袖中にさりげなくそっと収まっている方がお洒落に思えます。たまに袖口から上品なデザインの時計がチラッと見えると結構いい感じの印象。
袖口に収まらずシャツからはみ出して手の甲近くで夏のように主張するのはちょっと違うのかなと思うのです。
もちろん 
その辺りの感性は人それぞれだとは思います。

控え目な腕時計が逆にその人の品格を上げる手助けになるんじゃないかなと。そう思うのです。

そんな時計は数ありますが、この時計はその候補の一つ。f:id:echolo223:20211021010240j:image

ジャガールクルト  レベルソ。

 

 

セイコーダイバーズ 一つの結論

最近はメインがセイコー300mダイバーになりました。

やはりどうしたって、あらゆる意味で信頼できる時計。この時計とスーツに合わせる時計と2本ほど有れば事足りるだろうと。最近はそう思っています。

過去のブログに8Lモデルを否定的に書きましたが、雫石で丁寧に作られたであろう機械は信頼できますし、ケースが相当に頑丈であろうことはつけてみるとすぐにわかります。象が踏んでも壊れないんじゃないかな。ベゼル回転の滑らかさ、綺麗に無反射処理された針の視認性、時針と短針の太さをオリジナル300mから変更したには視認性を向上させるための現代解釈でしょう。同じ太さだと見た目スマートですが、両方の針が近づくと見にくくなることを他の時計で経験しています。

それとしっかり明るく光り続ける夜光はプロフェッショナルを名乗るに相応しい。

200mモデルとプロフェッショナルな300mモデルは明らかに差があります。「本物」のダイバーズウォッチ。

本当の良さに気づくのに購入してから2年もかかりました。

色違いモデルがありますが、どれでもお好みでいいと思います。どれもが正解。なんなら黒、青、緑、何色でもいいです。この先、白とかオレンジも出るかもしれませんね。

完璧な信頼性を腕時計に求めるならば、適当なダイバーズを数買うのもアリでしょうけど、セイコーの8Lマリンマスターを買っておけば生涯他のダイバーズに散財しなくとも一つをとことん使い続けることができるでしょう。そう考えると少々高価ですがコストパフォーマンスが高いダイバーズと言えます。ちょっと高級メーカーのスイス製に比べると性能的に破格かもしれませんね。

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