気まぐれ腕時計館

腕時計好きになって31年。貯めてきた戯論を気ままに書いています。

スピマスプロって頑丈?その4

地球以外の星で初めて使われた腕時計、それがスピマスプロ。未知の場所で使えるというのは、頑丈に思えます。でも月面で使われたのはスピマスプロだけではなくブローバも使われています。これにはバルジューの手巻きが使われていました。製作は当時ブローバ傘下だったユニバーサル製。普通のクロノグラフです。アポロ17号のミッションで支給されたスピマスプロが壊れたので代わりに私物を使ったとのこと。

f:id:echolo223:20190429231611j:image(写真はブローバ。月面で使われた本物)

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(こちらは現行品の私物。ただしシチズン製のクオーツ。)

 

結構、月面っていうだけで、なんでも使えるんじゃないかな?って思えますね。でもリスキーではあります。

あまり語られないですが真空での使用で問題なのは、ケースの内外圧の差。もしも防水性能(密閉度)が悪ければ時計内部が宇宙空間では真空になります。油が揮発しやすくなるのではないかということですね。油が揮発して時計機能に悪影響を及ぼす可能性があります。実際に宇宙空間で使う稼働部分の油には工夫が凝らしてあるようです。

内部が真空にならなければ、つまり油にかかる圧力が地球で組んだままであれば油の状態も変わらないでしょう。無重力は天然のトゥールビヨンですし、調整次第では高精度を出せる素晴らしい環境かも???

 

スピマスプロが物凄い逸話を残す伝説の時計になれたのは、当時にしては優れた防水ケースにあったと僕は考えています。

現在では優れた加工精度で作られたケースに防水は当たり前の時代ですから、

お そ ら く 、ではありますが、

ほとんどの現行機械式クロノグラフは宇宙空間で使用可能だろうと。そう思いますが、実証実験ができないのが残念。