まずは手巻
賢人曰く、
「シンプルで部品数も少ない構造の手巻時計は頑丈で壊れにくい。」
確かに仰る通りだと思います。
数日前にクロノグラフは部品数が多く構造が複雑なので故障のリスクは高いと僕も書きました。
しかし、一つ盲点というか考慮すべきところがあります。
それは手巻時計は手で巻かないといけないということです。
当たり前の話ですが、手巻時計を構造だけで語ると確かに頑丈ですが、使うことを考えると人の手でゼンマイを巻き上げるという「酷使」を毎日行わないといけません。
もちろん、慎重に優しく丁寧に、時計の調子を探るさながら昔の町医者のように竜頭を回すなら幾分いいかもしれません。
しかし、その日の気分によって早く、竜頭が重くなってるのに容赦なくグリグリ、巻き止まりギリギリまでギュリって巻き上げたりを繰り返すとゼンマイ巻き切りなんて事になりかねません。
しかも毎日数十回もグリグリしますからパッキンも多少痛みます。もちろんそれにより防水性の低下を招き、竜頭部分から錆びる事に。
「手巻き時計は毎日巻き上げる事で愛着が増す」
確かにそうかもしれませんが、あくまで丁寧に優しく変化に気づくくらいに毎日使わないといずれしっぺ返しがくるかもしれません。
ゼンマイを巻き切った時の自己嫌悪は毎日築いた愛着の減少を招く恐れもあります。
注意が必要です。
そういう意味では8日巻きなんていうロングパワーリザーブのモデルは存在意義があるでしょう。
週の初めに時計を巻き上げて時刻も合わせる。
いいんじゃないでしょうか。