そして自動巻時計、
地球の重力を利用してゼンマイを巻き上げる時計ですが、現在ある機械式時計の殆どが自動巻であると言ってもいいでしょう。
手巻き時計はほんの少数派。
言うまでもなく、その数の多さは支持率の多さでもありましょう。
わざわざゼンマイを巻き上げる手巻き時計に比べて腕につけているだけでゼンマイが巻ける自動巻は便利でもありますし、手巻時計に比べて操作が減るので腕時計の弱点である竜頭の保護にもなります。
欠点は手巻き時計よりも複雑になり機構的には故障箇所が増える事。しかしこれは前項で書きましたが手巻き時計そのものも人間の手で巻き上げないといけないリスクを避けられる点で大きく自動巻の方がアドバンテージを持っていると思います。ちょうどいいところまで巻き上がったらそれ以上ゼンマイに負荷がかからないような仕組みは巻き切り防止になり安全です。
自動巻時計には手巻き機構も備わっているものが多いですから、完全に止まってしまった時の初動や、いざという時、例えば重力を利用できない宇宙環境での使用や腕につけて巻き上げられない状態であっても使用することは可能ですから、できれば自動巻を選ぶ場合は手巻き機構付きのものを選んだ方がいいと思います。
ちなみに機械が複雑になれば故障率が高くなるというのは当たり前の事を言っているだけで批判ではありませんよ。必要なら複雑であっても仕方がないことです。その必要とされる志向性の要素もまた多様であります。
シンプルで壊れにくい最もシンプルな時計が欲しければ日時計の腕時計タイプが良いかもしれません。
自動巻というシステムが有効なのは腕につけてこそ。懐中時計の時代には意味がないもの。
また壁掛け時計や置き時計でも不可能。
持ち主の自然な動きがエネルギーになる仕組みは使うにつれて次第に身体の一部になっているようで、手巻き時計とは違った愛着が生まれますね。