気まぐれ腕時計館

腕時計好きになって31年。貯めてきた戯論を気ままに書いています。

手巻 スモセコ 3針 に想いを馳せた頃。

最初はバセロン1014/2シリーズに憧れた。

ジュビリー、ヒストリカル、リール…

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いずれはと思いつつ、いつの間にか廃盤に。

ミネルバの48ピタゴラスも候補だったが、ネット販売しかなかったので断念。

 

ノモスの7001でいいじゃないかと思い続けた日々も長かった。

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しかしやはり満足出来ずバセロン1014/2と同族の822を積んだレベルソに目を向けた。

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もともと1014/2はルクルト製。822は全くの兄弟機。ザクッと言うとそっくりというかほぼ同じでムーブメントが円形か楕円形かの違い。

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白状すると途中でパテック3796に行こうとも思った。f:id:echolo223:20200509233941p:image
だけどどうしてもムーブメントの造形に最後まで魅力を感じなかったし、某有名時計店店長さんが、今のパテックは…(略・想像にお任せします)…というのに完全に冷めた。ターゲットは822レベルソ一本に絞られた。
ここまで書いて改めて言うまでもないかもしれませんが何を狙っていたかというと、シンプルな手巻、スモセコ、3針。
できれば装飾でもいいからチラネジがついてると見えなくても非常に嬉しい。そしてブリッジは分割されてる方が好ましい。この条件に合うのは当時少なかった。今はどうか知らない。多すぎて把握仕切れてないし知らないけど実は気にもならない。
ETA問題以降ツクシのように急に生えてきたハウスムーブメントには、それが良機であろうとなかろうと正直あまり興味はない。
古典的な輪列によって動くシンプルな手巻き時計が感覚的に一番しっくりくる。
そしてまた美しいとも思う。よくぞ今でも作り続けてくれているものだと。
量産機で凝ったケースにギョーシェ文字盤で100万円に遠く及ばない価格の時計はもはや、
オメガのスピードマスターと並んでスイス時計の良心と呼んで差し支えないでしょう。
自分の中で手巻きスモセコ3針分野においてレベルソを凌駕するのはシンプリシティーしかない。偉大なる時計師デュフォーさんには最大の敬意を表したい。

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しかし、大量生産品である利点においては822レベルソの方がデュフォーさんのシンプリシティーを逆に凌駕していると考える。同じ理由でプゾーやユニタスも非常に好んできた。
822レベルソ。表の顔も造形も見ていて綺麗な時計。ひっくり返してスケルトンだったら美しいムーブメントも見れてもっといいのにと何度も思うけれど、なぜかルクルトは作らない。限定品で作ったかもしれないけれど定番にはしない。それもある意味ルクルトの822レベルソに対する矜持なのだろう。そしてその矜恃にも敬意を表したい。

f:id:echolo223:20200509234200j:imageいずれ何かしら裏面にエングレーブしたいと思うが、なかなか決まらない。けれどそれを考える時間が楽しい。何もない能面の裏側に何を描くか無限の空想世界が広がっていて、その奥で美しい古典ムーブメントが今も時を刻んでいる。そう思うだけで今日も旨い酒が呑めるのです。